人前で首や手の震えを自覚した時、頭の中で「落ち着け」「焦るな」と言い聞かせていませんか?震えを止めたい一心でついやってしまいがちな自己暗示ですが、これは「自分は落ち着いていない」「焦っている」と言い聞かせているのと同じことです。落ち着こうとすればするほど余計に緊張感が高まり、首や手の震えに加えて発汗・赤面など状況が悪化したという経験のある人もいるのではないでしょうか。
イメージトレーニングやプラス思考で、緊張に負けないメンタルを作ることも大切です。しかしどんなに気持ちを強く持っても、いざ人前に出るとやっぱり震えが起きる…!と悩む人も少なくありません。震えを自覚した時に頭であれこれ考えるのは一旦やめて、緊張を和らげる行動を取ってみてはどうでしょうか。この記事では、首や手の震えを止める方法として、緊張を和らげる効果のある身体の動かし方をご紹介します。首や手の震えを自覚した時には、肉体的アプローチを実践してみてくださいね!
筋弛緩法で震えを止める
緊張すると無意識に身体に力が入り、筋肉が収縮して痙攣することで震えが引き起こされます。首の筋肉に力が入ると声が震え、手首・足首の筋肉に力が入れば手足が震えます。首や手の震えを止める為には収縮した筋肉を解す必要がありますが、単に「はい、力を抜いて下さい」と言われてもなかなか難しいものです。ここでは首や手の筋肉の緊張を解いて震えを止める方法として、手軽に出来る「筋弛緩法(きんしかんほう)」をご紹介します!
筋弛緩法の正式名は「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」で、アメリカの神経生理学者エドモンド・ジェイコブソン博士により約100年前に考案されたリラクゼーション法です。世界に広く知られた方法で、意図的に筋肉を緊張させてから緩めることで心身の緊張が和らぐ効果があります。簡単に言えば身体に力を入れて一気に抜くことでリラックスさせる方法ですが、筋弛緩法は「緊張」「脱力」「弛緩」3ステップで成り立っています。
- 緊張…70~80%程度の力を入れて筋肉を緊張させる
- 脱力…一気に力を抜いて筋肉の緊張を解く
- 弛緩…筋肉の緩みを感じる
「よし、リラックスするぞ!」と気合を入れて筋弛緩法を行うと余計に緊張してしまうので、特に3ステップの「弛緩」を意識しましょう。筋肉の緊張と緩和の差に意識を向けると効果的です。最初は体感し辛いかもしれませんが、筋肉の緊張が和らぐ感じが分かるとよりリラックス効果が高まり、首や手の震え抑制に繋がります。
手の開閉を繰り返す
緊張で手が震える時は、筋弛緩法で筋肉の緊張を解きましょう。握りこぶしを作ってぐっと力を入れ、手をパッと開いて力を抜きます。じゃんけんのグーとパーを繰り返すイメージで、手を数回開閉させましょう。意図的に緊張と緩和を繰り返すことで、カチカチに緊張した手の筋肉も和らぎ震えが止まります。人が目の前にいる状況でも、手を数回開閉させるくらいなら違和感なく実践することが出来ます。
首・肩に力を入れる
緊張で首の筋肉に力が入ると、首の震えだけでなく顔や声の震えにも繋がります。首周辺の震えを感じた時も手と同じく筋弛緩法を活用しましょう。まずは両腕を下にだらんと伸ばし、両肩を紐で吊られたように上に引き上げて首や肩周りにぐっと力を入れます。一気に力を抜き、ストンと肩を落とします。たったこれだけですが、緊張で強張った筋肉に意図的に力を入れて一気に力を抜くことで、リラックス効果が得られます。
腹式呼吸に集中する
人前で首や手の震えを自覚して焦り、震えが止まらなくて更に焦り、益々緊張して震えが止まらないという負のサイクルに陥ったことはありませんか?緊張で首や手が震える時、震えている部位に意識が集中してしまうのも無理はありません。しかし震えから意識が外れない限り、震えを止めることは難しいでしょう。首や手が震えるほど緊張している時は、無意識に呼吸も浅くなっています。手の震えを見るのも、首の震えを意識するのも一旦やめて、ゆっくり大きく「腹式呼吸」を心掛けてみてください。
「腹式呼吸」とは、肺が入っている胸郭(きょうかく)を動かさずに、内臓がおさまっている腹腔(ふくこう)と胸郭との間にある横隔膜(おうかくまく)という筋肉を動かして呼吸をすることです。私たちは普段無意識に、胸や肩を上下させて胸郭を動かし「胸式呼吸」をしています。胸式呼吸の特性は、息を吸う時に興奮を司る交感神経を刺激し、息を吐く時にリラックスを司る副交感神経を刺激すること。震えるほど緊張した時に胸式呼吸よりも腹式呼吸がオススメなのは、腹式呼吸で横隔膜を大きく動かすことで、息を吸う時も吐く時も副交感神経に刺激を与えることが出来るからです。胸式呼吸でも横隔膜は動いていますが、腹式呼吸の方がはるかに大きく横隔膜を上下させることが出来ると言われています。
副交感神経を刺激すると、別名「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンという脳内物質が分泌され、心拍数や呼吸数が下がる為リラックスすることが出来ます。気持ちが落ち着くと精神的な余裕が生まれるだけでなく、筋肉の収縮も緩和されて首や手の震えも止めることが出来るでしょう。腹式で強い呼吸をすることで声の震えを止める効果もあります。腹式呼吸をする時は2つのポイントを意識しましょう。
- 丹田(たんでん)に力を込めて口から息を吐く
- お腹に空気を入れるイメージで鼻から息を吸う
腹式呼吸をする時は胸や肩が上下しないように、お腹の動きを意識することが大切です。特にお臍から指3本分下にある丹田に力を込めると効果的。力を入れにくいと感じた時は、丹田を軽く手で抑えると意識しやすくなります。息は口から吐いて、鼻から吸います。首や手の震えから意識を外すことも出来るので、緊張した時は苦しくない程度にゆっくり大きな腹式呼吸を心掛けてみてください。
震えを止める手のツボを押す
人前で首や手が震えた時に、緊張をほぐして震えを止める効果の高い3つの手のツボをご紹介します。どの手のツボも、じっくり押してゆっくり離すことを心掛けてください。また緊張すると無意識に手に癖が出ることがあります。手遊びをしたり、指で机をトントン叩いたり、ペンを回したり…。手に落ち着きが無いのはあまり印象の良いものではありませんが、手のツボを押している間は癖も抑えることが出来るでしょう。
労宮(ろうきゅう)
手のひらのちょうど真ん中にある精神機能を司るツボです。こぶしを握った時に中指と薬指の先端の間にあります。「痛いけど気持ちいい」くらいの強さで手のツボを押すと、気分を落ち着かせて緊張が和らぐ効果アリ。反対の手の親指でじっくりゆっくり押してあげましょう。
合谷(ごうこく)
手の甲の親指と人差し指の骨が合流するところから少し上のくぼみにあるツボです。万能のツボとも呼ばれており、自律神経を整えリラックス効果が得られるほか、美容や便秘にも効果アリとされています。反対の手の親指でグリグリと円を描くように、手のツボを押してあげましょう。
内関(ないかん)
手のひら側の手首の横じわの中央から肘に向かって指3本分下に位置し、2本の太い腱の間にあるツボです。ストレスを和らげて気持ちを落ち着かせる効果があります。反対の手の親指で押してあげましょう。手のツボを押すと痺れるような感覚が伝わってきます。
まとめ
身体のリラックスは、心のリラックスに繋がります。緊張で首や手が震える時に感情や精神面をほぐそうと頑張るのではなく、身体の緊張をほぐすことで精神的な緊張も和らげていきましょう。緊張に負けないメンタルに鍛え上げるまでには、人前で首や手が震えることもあるはず。イメージトレーニングの効果がすぐ出る人ばかりではないと思います。そんな時は是非、身体を動かして肉体面からの緊張緩和を試みてくださいね。
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